更新:
亜鉛がどのような栄養素かご存知ですか?亜鉛の特徴や役割、多く含む食材を知ることで、栄養効果を最大限に活かすことも可能となります。亜鉛がどのような栄養素なのか、その効果と上手な食べ合わせについて知っておきましょう。
亜鉛は成人の体内に2〜3g存在しており、体内でつくることができない必須ミネラルの一つです。
主に筋肉や骨の中に多く存在していますが、それ以外にも肝臓や腎臓、膵臓、脾臓など、幅広い臓器に存在しています。体内ではつくることができないため、必要量をすべて食事から摂る必要があります。
亜鉛はたんぱく質やDNAの合成に関与しているほか、ホルモンの合成や分泌、200種類以上の酵素の構成要素として生体内の反応に関与しており、生命維持と成長に欠かせないミネラルです。
また、亜鉛は免疫機能の調節にも関与しており、亜鉛が免疫細胞の働きを活性化させると言われています。
亜鉛が不足するとたんぱく質やDNAの合成が正常に行われなくなるため、子供の場合は成長障害が起こる可能性があります。
亜鉛は細胞の生まれ変わりに関わっていることから、細胞分裂が盛んな組織に影響が出やすいとされています。味を感じる「味蕾(みらい)」と呼ばれる器官の細胞は分裂が早いため、亜鉛不足によって分裂に支障をきたし、味覚障害になることもあります。
また、免疫機能が低下することで、感染症にかかりやすくなるリスクもあります。
厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、亜鉛の1日当たりの推定平均必要量と推奨量が規定されています。それによると、亜鉛の推奨量は18〜74歳の男性で11mg、12歳以上の女性で8mgとされています。
亜鉛は吸収しにくいミネラルであり、通常の食事で過剰摂取になることはありません。亜鉛不足でサプリメントを摂取する場合は気を付けましょう。
性 別 | 男 性 | |
年齢等 | 推定平均 必要量 |
推奨量 |
0〜5(月) | ― | ― |
6〜11(月) | ― | ― |
1〜2(歳) | 3 | 3 |
3〜5(歳) | 3 | 4 |
6〜7(歳) | 4 | 5 |
8〜9(歳) | 5 | 6 |
10〜11(歳) | 6 | 7 |
12〜14(歳) | 9 | 10 |
15〜17(歳) | 10 | 12 |
18〜29(歳) | 9 | 11 |
30〜49(歳) | 9 | 11 |
50〜64(歳) | 9 | 11 |
65〜74(歳) | 9 | 11 |
75 以上(歳) | 9 | 10 |
性 別 | 女 性 | |
年齢等 | 推定平均 必要量 |
推奨量 |
0〜5(月) | ― | ― |
6〜11(月) | ― | ― |
1〜2(歳) | 2 | 3 |
3〜5(歳) | 3 | 3 |
6〜7(歳) | 3 | 4 |
8〜9(歳) | 4 | 5 |
10〜11(歳) | 5 | 6 |
12〜14(歳) | 7 | 8 |
15〜17(歳) | 7 | 8 |
18〜29(歳) | 7 | 8 |
30〜49(歳) | 7 | 8 |
50〜64(歳) | 7 | 8 |
65〜74(歳) | 7 | 8 |
75 以上(歳) | 6 | 8 |
妊婦(付加量) | +1 | +2 |
授乳婦(付加量) | +3 | +3 |
亜鉛は魚介類や肉類、豆類、海藻、野菜などに幅広く含まれており、通常の食生活で不足することはほとんどありませんが、偏った食生活をしていたり、ダイエットで食事量を制限していると不足することがあります。
亜鉛は魚介類に多く含まれていますが、なかでも牡蠣の含有量は100gあたり14.5mgとダントツです。また、うなぎやレバーにも多く含まれていますので、不足しがちな場合はこれらの食材から効率よく摂るのがおすすめです。
亜鉛は私たちが健康に生きていくうえでなくてはならない栄養素ですが、消化管からの吸収は約30%と言われており、決してよいわけではありません。
亜鉛は、大量の食物繊維や玄米などに含まれているフィチン酸などと一緒に摂ると吸収が妨げられてしまいますので、食べ合わせには注意が必要です。その一方で、ビタミンCやクエン酸、良質なたんぱく質を含む食材を一緒に食べ合わせることで、吸収効率が上がると言われています。
生牡蠣にレモンをかけるのは、亜鉛にビタミンCとクエン酸という、理想的な食べ合わせであると言えます。亜鉛を効率よく摂りたい場合には、ビタミンCや良質なたんぱく質を豊富に含む食材を上手に食べ合わせてみましょう。
出典1:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|ミネラル(多量ミネラル) 出典2:厚生労働省|令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要 |