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鉄分がどのような栄養素かご存知ですか?鉄分の特徴や役割、多く含む食材を知ることで、栄養効果を最大限に活かすことも可能となります。鉄分がどのような栄養素なのか、その効果と上手な食べ合わせについて知っておきましょう。
鉄は私たちの体内に3〜4g存在しているミネラルであり、その多くは赤血球の原料となるヘモグロビンとして使われている非常に重要な栄養素です。鉄を含むヘモグロビンは酸素と結びつく性質があるため、赤血球は酸素を全身に運ぶことができます。
食品に含まれている鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があり、ヘム鉄は肉などの動物性食品に、非ヘム鉄は野菜などの植物性食品に含まれています。ヘム鉄は鉄がたんぱく質と結びついており、非ヘム鉄に比べて数倍も体内に吸収しやすくなっています。
体内に存在している鉄の約70%はヘモグロビンやミオグロビンとして存在しています。ヘモグロビンは赤血球を構成する主成分であり、全身に酸素を運ぶ役割を担っています。
また、ミオグロビンは筋肉中に酸素を蓄える働きをしています。残りの鉄は骨髄や肝臓、脾臓に貯蔵鉄として蓄えられており、体内の鉄が不足した際に使われます。
鉄が不足すると赤血球がつくれなくなってしまうため、赤血球が不足することで動悸や息切れ、疲労感を感じるようになります。
女性は月経による定期的な出血があるため、鉄が失われてしまう分、多くの鉄が必要となります。特に成長期に当たる中学、高校の女性は鉄が不足しがちですので、意識して鉄分を摂る必要があります。
厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、鉄の1日当たりの推定平均必要量と推奨量が規定されています。それによると、鉄の推奨量は男性で12〜17歳が一番多くて10.0mg、女性は10〜14歳が一番多くて12mgとなっています。
耐容上限量も設定されていますが、鉄は吸収しにくいミネラルであり、通常の食事で過剰摂取になることはありません。鉄不足でサプリメントを摂取する場合は気を付けましょう。
性 別 | 男 性 | |
年齢等 | 推定平均 必要量 |
推奨量 |
0〜5(月) | ― | ― |
6〜11(月) | 3.5 | 5.0 |
1〜2(歳) | 3.0 | 4.5 |
3〜5(歳) | 4.0 | 5.5 |
6〜7(歳) | 5.0 | 5.5 |
8〜9(歳) | 6.0 | 7.0 |
10〜11(歳) | 7.0 | 8.5 |
12〜14(歳) | 8.0 | 10.0 |
15〜17(歳) | 8.0 | 10.0 |
18〜29(歳) | 6.5 | 7.5 |
30〜49(歳) | 6.5 | 7.5 |
50〜64(歳) | 6.5 | 7.5 |
65〜74(歳) | 6.0 | 7.5 |
75 以上(歳) | 6.0 | 7.0 |
性 別 | 女 性 | |||
年齢等 | 月経なし | 月経あり | ||
推定平均 必要量 |
推奨量 | 推定平均 必要量 |
推奨量 | |
0〜5(月) | ― | ― | ― | ― |
6〜11(月) | 3.5 | 4.5 | ― | ― |
1〜2(歳) | 3.0 | 4.5 | ― | ― |
3〜5(歳) | 4.0 | 5.5 | ― | ― |
6〜7(歳) | 4.5 | 5.5 | ― | ― |
8〜9(歳) | 6.0 | 7.5 | ― | ― |
10〜11(歳) | 7.0 | 8.5 | 10.0 | 12.0 |
12〜14(歳) | 7.0 | 8.5 | 10.0 | 12.0 |
15〜17(歳) | 5.5 | 7.0 | 8.5 | 10.5 |
18〜29(歳) | 5.5 | 6.5 | 8.5 | 10.5 |
30〜49(歳) | 5.5 | 6.5 | 9.0 | 10.5 |
50〜64(歳) | 5.5 | 6.5 | 9.0 | 11.0 |
65〜74(歳) | 5.0 | 6.0 | ― | ― |
75 以上(歳) | 5.0 | 6.0 | ― | ― |
妊婦初期 | +2.0 | +2.5 | ― | ― |
妊婦中期・後期 | +12.5 | +15.0 | ― | ― |
授乳婦(付加量) | +2.0 | +2.5 | ― | ― |
鉄を多く含む食材としてレバーを想像する方が多いと思います。確かにレバーには多くの鉄分が含まれていますが、日本人が摂取している鉄分の多くは野菜や穀物からとなっています。
鉄には肉などの動物性食品に含まれているヘム鉄と、野菜などの植物性食品に含まれている非ヘム鉄があり、ヘム鉄のほうが数倍吸収がよいと言われています。日本人は非ヘム鉄を多く摂っているため、この非ヘム鉄を効率よく吸収するのがポイントとなります。
鉄分が多い食材としてはレバーの含有量がダントツですが、アサリやシジミなどの貝類、大豆や油揚げなどの豆類、牛肉などが挙げられます。
鉄は私たちが健康に生きていくうえでなくてはならない栄養素ですが、消化管からの吸収がよくないことでも知られています。食品に含まれている鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄は主に肉などの動物性食品に、非ヘム鉄は野菜などの植物性食品に含まれています。
ヘム鉄は非ヘム鉄の数倍吸収がよいと言われていますが、日本人が摂取する鉄分の多くは非ヘム鉄であり、非ヘム鉄を効率よく吸収することが鉄分摂取のポイントとなります。
この非ヘム鉄を吸収しやすい形にしてくれるのがビタミンCです。ビタミンCには還元作用があり、非ヘム鉄をヘム鉄に変えることができるため、鉄分を効率よく吸収することができます。
また、必須アミノ酸を豊富に含む良質なたんぱく質も鉄分の吸収を助けることが知られています。鉄分を効率よく摂りたい場合には、ビタミンCや良質なたんぱく質を豊富に含む食材を上手に食べ合わせてみましょう。
出典1:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|ミネラル(多量ミネラル) 出典2:厚生労働省|令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要 |