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さといもは煮物の定番食材であり、非常に古くから栽培され、主食として重宝されてきました。ねっとりとした食感が特徴で、ヌルヌルした成分には水溶性食物繊維や糖タンパクが含まれており、胃腸の調子を整える効果が期待できます。さといもの食べ合わせについて、ぜひとも知っておきましょう。
さといもは東南アジアが原産のタロイモの仲間であり、縄文時代に日本に伝わり、主食として食べられてきたと言われています。山に自生する山芋と対照的に、里で栽培されていることから里芋と呼ばれるようになったとされています。
独特のねっとりとした食感が特徴で、煮物の定番の材料となっています。日本では数十種類の品種が栽培されており、9月〜11月に最も出荷量が多くなります。
■カリウムの含有量が非常に多い
さといもに含まれている栄養素の主成分はデンプンであり、比較的低カロリーなヘルシー食材とされています。また、イモ類の中でもカリウムが非常に多く含まれており、その含有量は100gあたり600mg以上となっています。
この含有量はイモ類に限らず、乾燥食材を除くすべての食材の中でも多い値であると言えます。カリウムは体内でナトリウムとバランスを取りながら細胞や神経の働きを調整していますが、ナトリウムを摂りすぎてしまうと体内のバランスが崩れ、血圧が高くなったりします。
カリウムは体内の水分量を調節してむくみを解消したり、余分なナトリウムを排泄して血圧を正常に保つ働きがあると言われており、高血圧の予防効果が期待できます。
■ヌルヌル成分は水溶性食物繊維
さといもは特有のヌルヌルした食感がありますが、これはガラクタンとグルコマンナン、ムチレージによるものです。ガラクタンとグルコマンナンはいずれも水溶性食物繊維であり、糖やコレステロールの吸収を抑えたり、腸内バランスを整える働きがあると言われています。
さといも100gあたり水溶性食物繊維は0.8g、不溶性食物繊維は1.5g含まれています。不溶性食物繊維は消化吸収されることなく、水分を含んで便のかさを増し、腸を刺激することで蠕動運動を促すため、便通の改善効果が期待できます。
ムチレージはやまいもや納豆、オクラにも含まれている粘り成分であり、タンパク質の消化吸収を助ける働きがあると言われています。ネバネバ食材がスタミナアップによいとされているのははこのためです。また、胃などの粘膜を守る働きがあり、胃炎や胃潰瘍の予防や改善に効果があると言われています。
以下の表では、さといも100gあたりに含まれているエネルギー量や、主要なビタミン・ミネラルなどの含有量を示しています。単品からの栄養摂取に偏ることなく、さまざまな食材を上手に食べ合わせて、バランスよく栄養を摂取しましょう。
エネルギー | 58 kcal |
炭水化物 | 13.1 g |
食物繊維 | 2.3 g |
脂肪 | 0.1 g |
タンパク質 | 1.5 g |
βカロテン | 5 μg |
ビタミンB1 | 0.07 mg |
ビタミンB2 | 0.02 mg |
ビタミンB3 | 1.0 mg |
ビタミンB5 | 0.48 mg |
ビタミンB6 | 0.15 mg |
葉酸 | 30 μg |
ビタミンC | 6 mg |
ビタミンE | 0.6 mg |
カリウム | 640 mg |
カルシウム | 10 mg |
マグネシウム | 19 mg |
リン | 55 mg |
鉄分 | 0.5 mg |
亜鉛 | 0.3 mg |
銅 | 0.15 mg |
水溶性食物繊維 | 0.8 g |
不溶性食物繊維 | 1.5 g |
■カリウムとアルギン酸でナトリウムを排泄
さといもは何と言ってもカリウムが豊富であり、カリウムが豊富なイモ類の中でも含有量はトップクラスです。カリウムは体内の余分なナトリウムを排泄し、血圧の安定に欠かせない栄養素です。
このカリウムが豊富なさといもと一緒に食べ合わせるとよい食材として、アルギン酸が豊富な昆布やワカメが挙げられます。
昆布やワカメを切った時に出てくるヌルヌルした成分が水溶性食物繊維の一種であるアルギン酸です。アルギン酸にはカリウムと協力して体内の余分なナトリウムの排泄を促す働きがあると言われており、高血圧の予防効果が期待できます。
■ネバネバ食材と相性がよい
さといものヌルヌル成分にはガラクタンやグルコマンナンなどの水溶性食物繊維や、糖タンパクのムチレージが含まれています。このさといもと一緒に食べ合わせるとよい食材として、同じくムチレージのネバネバ成分を多く含むやまいもやオクラ、れんこんが挙げられます。
ムチレージには胃粘膜を保護する働きがあると言われており、豊富な水溶性食物繊維の働きと併せることで、胃腸の調子を整える効果が期待できます。
また、ムチレージにはタンパク質の吸収を助ける働きもあると言われており、良質なタンパク質を豊富に含む豚肉や鶏肉、納豆を一緒に食べることで疲労回復効果が期待できます。特に豚肉には糖質のエネルギー代謝に欠かせないビタミンB1が豊富に含まれており、疲労物質である乳酸を減らす効果も期待できます。
一緒に食べるとよい食材 | 期待できる効果 |
---|---|
昆布 ワカメ イカ タコ |
高血圧の予防 |
オクラ やまいも れんこん |
胃腸の調子を整える |
豚肉 鶏肉 納豆 |
疲労回復 |
出典1:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|脂溶性ビタミン 出典2:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|水溶性ビタミン 出典3:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|ミネラル(多量ミネラル) 出典4:厚生労働省|令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要 出典5:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)|さといも/球茎/生 |