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ギンナンはイチョウの木の実であり、硬い殻を割って取り出した実は茶わん蒸しや焼き物などに使われています。ギンナンにはカロテン、ビタミンC、カリウムが豊富に含まれています。ギンナンの食べ合わせについて、ぜひとも知っておきましょう。
ギンナンはイチョウの木の種子であり、イチョウの木自体は日本各地の街路樹としてもよく見かける存在です。
ギンナンはイチョウの実と勘違いされることもありますが、正確には硬い殻に覆われた種子の中の仁と呼ばれる部分であり、その部分を食するのは日本や中国など、東アジアに限られています。
新鮮なギンナンは緑色をしていますが、時間が経つと黄色に変色し、熟すと特有の異臭を放つようになります。揚げ物や炒め物に使われますが、皮膚炎や食中毒の原因となる物質を含んでいるため、食べすぎには注意が必要です。
■βカロテンやビタミンCが豊富
イチョウは強い生命力をもつ植物で、イチョウの葉は健康食品にも使われています。ギンナンにはβカロテン、ビタミンC、ビタミンE、カリウムが豊富に含まれています。
βカロテンは植物に含まれるビタミンAで、体内で必要に応じてビタミンAに変化し、残りのカロテンは抗酸化物質として活性酸素の無毒化などに働きます。
ビタミンAは皮膚や粘膜を丈夫にする働きがあり、風邪やインフルエンザなど感染症の予防に効果を発揮するほか、眼病予防にも効果があると言われています。
■カリウムの含有量はトップクラス
ギンナンには非常に多くのカリウムが含まれています。カリウムは体内の不要なナトリウムを排泄し、血圧を下げる働きがあると言われています。また、体内の水分量を調節し、むくみの解消効果も期待できます。
ギンナンにはギンコライドという特有の物質が含まれています。このギンコライドには血栓の生成を妨げる働きがあるので、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症を予防する働きがあると言われています。また、ボケの予防にも効果があるとされています。
以下の表では、ギンナン100gあたりに含まれているエネルギー量や、主要なビタミン・ミネラルなどの含有量を示しています。単品からの栄養摂取に偏ることなく、さまざまな食材を上手に食べ合わせて、バランスよく栄養を摂取しましょう。
エネルギー | 171kcal |
炭水化物 | 34.8 g |
食物繊維 | 1.6 g |
脂肪 | 1.6 g |
飽和脂肪酸 | 0.16 g |
一価不飽和 | 0.48 g |
多価不飽和 | 0.60 g |
タンパク質 | 4.7 g |
ビタミンA相当量 | 24 μg |
ビタミンB1 | 0.28 mg |
ビタミンB2 | 0.08 mg |
ビタミンB3 | 1.2 mg |
ビタミンB5 | 1.27 mg |
ビタミンB6 | 0.07 mg |
葉酸 | 45 μg |
ビタミンC | 23 mg |
ビタミンE | 2.5 mg |
ビタミンK | 3 μg |
カリウム | 710 mg |
カルシウム | 5 mg |
マグネシウム | 48 mg |
リン | 120 mg |
鉄分 | 1.0 mg |
亜鉛 | 0.4 mg |
銅 | 0.25 mg |
■豊富なカリウムがナトリウムを排泄
ギンナンの主成分は糖質とタンパク質ですが、ビタミンB1やビタミンC、カリウムを多く含んでおり、栄養分としては同じ木の実である栗に似ています。
ギンナンの栄養分で特筆すべきはカリウムの多さです。その含有量は食品の中でもトップクラスであり、アボカドやほうれん草、大豆に匹敵します。
カリウムは体内の水分量を調節してむくみを解消したり、体内の余分なナトリウムを体外に排泄する働きがあり、高血圧の予防効果が期待できます。
■カリウムがアルギン酸を助ける
このカリウムを豊富に含むギンナンと一緒に食べ合わせるとよい食材として、アルギン酸を多く含む昆布やワカメ、ひじきが挙げられます。
アルギン酸は昆布やワカメを切った時に出てくるヌルヌル成分であり、水溶性食物繊維の一種です。このアルギン酸はカリウムと協力して体内の不要なナトリウムを排泄する働きがあると言われています。
そのため、カリウムを豊富に含むギンナンと一緒にアルギン酸を含む昆布やワカメを食べ合わせることで、高血圧の予防効果が期待できます。
一緒に食べるとよい食材 | 期待できる効果 |
---|---|
ふき 納豆 昆布 ワカメ |
高血圧、動脈硬化の予防 |
大豆 ゴマ マグロ イワシ |
脳の老化防止 |
オクラ ごぼう 椎茸 昆布 |
コレステロールを下げる |
きゅうり うり かぼちゃ セロリ |
利尿作用、 むくみ解消 |
出典1:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|脂溶性ビタミン 出典2:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|水溶性ビタミン 出典3:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|ミネラル(多量ミネラル) 出典4:厚生労働省|令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要 出典5:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)|ぎんなん/生 |